高級腕時計を身に付けるのはステータスでもあり、おしゃれでもあります。 またモチベーションを高めるアイテムでもあり、気持ちを前向きにしてくれるアイテムでもあります。
時計を自分で購入する方もいれば、プレゼントでもらうという方もいるでしょう。 自身で使うのであれば、できるだけ長く使いたいと考えるのではないでしょうか。 一生ものと考える人もいれば、投資と考える人もいます。
しかし共通して言えるのは、できるだけ長く、そしてできるだけきれいなままで使いたいということではないでしょうか。
時計は精密機械です。”オーバーホール”をして定期的にメンテナンスを行わないと使えなくなってしまいます。
簡易メンテナンスと違って”オーバーホール”は費用も時間もかかるものです。メンテナンスを実施するのであればどれぐらいの頻度で行うのか、値段はいくらかかるのか、またどれくらいの期間がかかるのかということも知っておくのが大切です。
ここでは”オーバーホール”にかかる費用や適切なタイミングについてご説明いたします。
目次
- 1.オーバーホールとは?
- 1-1 オーバーホールの作業内容
- 1-2 なぜオーバーホールはしたほうがいいのか
- 1-3 オーバーホールのメリット・デメリット
- 2.オーバーホールの頻度
- 2-1 オーバーホールの適切な頻度
- 2-2 オーバーホールの頻度は使用頻度に比例
- 3.オーバーホールの値段や相場
- 3-1 メーカー正規店に依頼
- 3-2 民間修理業者に依頼
- 4.オーバーホール利用についてのまとめ
- 4-1 オーバーホールのオススメ頻度
- 4-2 オーバーホールにかける値段
- 5.クォーツ式の腕時計のオーバーホール
- 5-1 クォーツ式腕時計もオーバーホールが必要
- 5-2 クォーツ式腕時計のオーバーホールする頻度と値段
- まとめ

オーバーホールとは?
“オーバーホール” = “分解洗浄” のことです。
分解して洗浄するわけですから、通常の点検作業では出来ない清掃作業や劣化してしまった部品を交換し調整を目的とした行為です。
なぜ”オーバーホール”が必要なのか、しなければならない理由や”オーバーホール”を怠るとどうなのかご説明いたします。
オーバーホールの作業内容
オーバーホールの作業工程- 1.時計を分解しながら異常箇所の確認と交換が必要な箇所を確認
- ストラップやブレスレットを時計から取り外す
- ケースを分解
- 2.分解した状態で各パーツを超音波洗浄
- ムーブメントを分解
- 各部品を超音波洗浄機で洗浄
- 3.摩耗した部品の交換
- ムーブメントの各部品の状態を慎重に確認します。
- 摩耗した部品を純正品またはジェネリック品と交換
- 4.ムーブメントの組み立て・注油
- 細心の注意を払いムーブメントを組み立て
- 最適な潤滑油を注油
- 5.ムーブメントの調整
- 厳しい品質基準に基づいてムーブメントを調整
- 機能チェック
- 6.ケースとブレスレットの洗浄と研磨
- ケース洗浄&研磨
- ブレスレット洗浄&研磨
- 7.ケースの組み立てと防水機能の回復
- ケースの組み立て
- 防水性ガスケットを交換
- 8.検品
- 厳しい品質基準の下で機能外装の最終検品
項目ごとに詳細を記載しましたが、腕時計の文字盤の裏側に裏蓋があり開けると時計内部が見えます。そこからパーツを分解していきますが、パーツの数は100を軽く超え、息をしただけでも飛んでいくほど小さいパーツが複数あるのでとても神経を削る作業です。
“オーバーホール”の作業内容については大まかに説明いたしました。次は”オーバーホール”を行わなかったらどうなるのかについてご説明いたします。

なぜオーバーホールを
したほうがいいのか
経年すると物は当然、経年劣化します。腕時計も同じで永久機関ではありません。オーバーホールをしないと当たり前ですが、正確な時を刻めなくなります。時計本来の目的は、時間を把握するものですので正確な時間がわからないのは問題です。
時刻のズレの原因は、基本的に内部潤滑油の劣化、歯車の軸の摩耗、外的要因や浸水によるものが原因です。この状態を放置すればするほど歯車や内部パーツの摩耗の影響で金属粉が潤滑油に付着し、さらに摩耗されます。
一部が摩耗しだすと細部にまで影響し、その分余計にパーツ交換を必要とします。特にヴィンテージモデルともなると、メーカーによってはパーツ生産が停止してしまっている事もあるのです。動かす事が出来なくなる可能性を1%でも減らすために定期的な”オーバーホール”が必要不可欠なのです。
オーバーホールの
メリット・デメリット
【メリット】
- 部品単位まで分解を行うので部品単位の点検・交換が容易
- 部品を交換する事で製造時に近い状態に戻せる
- 部品の金属疲労などを超音波などで診断する事ができる
- 機械を細かく分解するため手間と時間がかかる
- 組み立てする際、技術と知識が必要
- 費用が点検メンテナンスより高くなる
- 元の部品が製造中止になっている場合がある

オーバーホールの頻度
オーバーホールは数ヶ月に1回とそこまで頻繁に行う必要はないですが、定期的に行う必要はあります。
オーバーホールを行う推奨頻度については腕時計メーカーが設定している事が多いので購入店やメーカーに問い合わせするのが良いです。
オーバーホールの適切な頻度
オーバーホールについては、オメガであれば24ヶ月の保証がついていますので、そこから紐解くと2年ぐらいは順調に稼働すると考えれば2~3年が妥当ではないでしょうか。
基本的には、メーカーの推奨タイミングで行うのが良いでしょう。
注意点としては、「メーカー推奨」だからといって壊れないわけではないのです。時刻のズレについても個体差があるのです。推奨期間内だとしても精密機械ですので、腕時計に異変を感じたらすぐに”オーバーホール”を依頼しましょう。
オーバーホールの頻度は
使用頻度に比例
機械式の腕時計は装着頻度が少なければ”オーバーホール”の期間も開けても問題はありません。時計内部が動いていない場合に限った話ですが、潤滑油は時間とともに劣化します。久しぶりに装着した時にズレがひどかったら”オーバーホール”をオススメします。

オーバーホールの値段や相場
“オーバーホール”と言えば気になるポイントは内容よりも値段や相場ではないでしょうか。
オーバーホールの値段は、メーカー正規店に依頼するか、民間修理業者に依頼するかによって大きく変わります。メーカー正規店でオーバーホールを依頼する場合と民間修理業者に依頼する2パターンをご説明いたします。
メーカー正規店に依頼
メーカー正規店にオーバーホールを依頼する場合、各メーカーよって金額は異なりますが、5~15万円位です。パーツ交換代は含まない事もありますし、交換費用として含まれる場合もあります。
各時計メーカーの正規店でオーバーホールを依頼するとオーバーホールを実施してから1~2年のメーカーの保証書がもらえます。
民間修理業者に依頼
民間修理業者に依頼した場合、値段の相場は2~8万円位になります。メーカー正規店でオーバーホールを依頼するよりはリーズナブルです。
民間修理業者に依頼する場合、メーカー正規店とは異なり、オーバーホール後の保証がついていたり、ついていなかったり曖昧だったりします。
時計修理ゼウスではオーバーホール後は1年間の保証付きです。アンティーク時計や一部の時計については6ヶ月保証となります。
民間修理業者は数多くいますし、競合も多いので手抜き作業や不具合を出すようならすぐに悪評が付きますので、オーバーホール作業は行うと思います。
大切な数十万、数百万円もする時計ですから数万円で”オーバーホール”すると考えれば金額は非常にリーズナブルで技術力も無ければ引き受る事は出来ませんので、数年の保証が必要でなければ民間修理業者の方がお手頃と言えます。

オーバーホールの
利用についてのまとめ
全体的な主観と説明をしましたが、オーバーホールの
オーバーホールの
オススメの頻度
- メーカー推奨期間に合わせてオーバーホールを行う
- 時刻のズレが大きくなってきたら行う
オーバーホールにかかる値段
- 保証書と証明書が必要ならメーカー正規店にオーバーホールの依頼
- 保証と証明が不要であれば民間修理業者が安く済む

クォーツ式の腕時計の
オーバーホール
クォーツ式の時計はオーバーホールを行う必要がないとよく巷では言っている人はいますが、ある意味正解で、ある意味不正解です。クォーツ式時計のオーバーホールについては、オーバーホールを行う頻度や値段は機械式と比べると若干変わるのです。
クォーツ式腕時計も
オーバーホールが必要
クォーツ式時計の場合、電子回路の水晶に電圧を与えて発生する振動と、電池からのエネルギーを供給して動かしているので、オーバーホールは必要ないと誤解されがちですが、内部の潤滑油は当然ながら劣化しますので、放置していれば消費電流の消費量も多くなりますし、時間のズレも大幅に発生致します。
防水のゴムパッキンも経年劣化しますので交換も必要になりますから”オーバーホール”は必要なのです。
機械式と比べるとパーツが数が少なく潤滑油が付いている箇所も少ないので、それはオーバーホールが必要ないと思う方もいます。機械式の分解洗浄と比べると扱う箇所も少ないのでメンテナンスが必要ないと思われのかもしれません。
クォーツ式腕時計の
オーバーホールの頻度と値段
オーバーホールの頻度は機械式に比べると、動力源が電池という事もあり、長期は稼働するのですが定期的に電池交換は行うと良いでしょう。
電池切れの電池をそのままにしておくと液漏れにより時計内部に影響を与えかねないので、電池切れを起こしたらすぐに交換をオススメ致します。
オーバーホール費用については、現状メーカーや正規店に対して民間修理業者と大きく差があります。
